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House Reform Apartment H.
Facilities

戦前の古い家屋(伝統工法)をリフォーム

制震装置/耐震補強

□設計概要

所在地 川崎市向ヶ丘
建築面積
72m2 21.7坪
延床面積
72m2 21.7坪
構造 木造在来軸組工法
階数 1階
>設計過程
>工事記録
>制震装置

戦前に建てられた母屋部分をリフォームしました。戦前は農家を営んでいたO氏の母屋でしたが、その後隣接して離れが建設され、そこが住宅の中心になり、この母屋はあまり使用されない状態でした。しかし、この母屋の廻りには広い庭があり、今回ゲストルームとしてリフォームしました。外観の骨格は変えないことで設計を始めましたが、築80年ほどの古い建物であることから基礎部分の耐震上の脆弱さが予想されました。そこで内部を一度すべて撤去し、土台の補強、免震装置の取付け、筋交いの設置などを行い、地震に強い新たな表情をもつ建物として再生しました。
実際建物内部を撤去してゆく過程で、最低限あると思った土台がないなど、現場でその都度確かめながらすすめました。何度も変更がありますがしかし、これがリフォームの面白いところです。机上で考えていただけでは発想できない形も実現できたりします。中心の広間は既存の柱を補修し、新たな柱や筋交いはスケルトンとしてそのまま見せることにして、広い庭と一体となる空間に仕上げました。また作業室となる部屋は全く違う白いインテリアのモダンで機能的な空間としてつくりました


大型障子の開閉で光をコントロール


内部は一度スケルトン状態に解体して耐震補強をしました。

広間
広い庭との一体感を大切にしました。庭に囲まれた贅沢な空間です。



母屋を広い庭が取りまいています。

庭に面した開口部分に縁側(濡縁)をつくりました。
<庭ー縁側ー広縁ー広間>という伝統的な繋がり方を再現しました。
縁側の板材は加圧注入の防腐処理をしたパイン材を使用しました。




外壁の土壁は断熱材として残しその上からガルバリウム鋼板の長尺材を貼付けました。
広間
大型障子には和紙に似せたワーロン紙を使っています。

床の間
解体時に発生した魅力的な形の木材を壁に埋め込みました。



開口部に取付けた大型電動ルーバーシャッター(スイス製)
大型のフィン(羽)の角度が自由に調整でき、とても奇麗なシャターです。


電動 ルーバシャッター



普段は畳の下に収納されており、電動で昇降します。大人数が集まるときのために2台設置しました。

昇降式掘りごたつ


昇降式掘りごたつ
裏返してテーブルにします。
書類を収納する棚を多く設けました。
一部に半透明の扉とアクセントに黒色の扉をつけてあります。
作業室
この部屋は機能性を持たせるため白色としました。


壁に大型パンチングメタルの金属板を貼付け白色に塗装しました。メモなどを貼付けるのに磁石や画鋲が使えます。
作業室



電動の物干竿
メーカー品ですがとても便利です。ただし天井を出来るだけ高くしてあります。


洗面室
既存の梁などが飛び出してしまう部分はそのまま生かしました。





内部は一度スケルトン状態に解体して耐震補強しました。
基礎が不十分であったため、それを補うために木造の制震装置を各所に取付けました。
>制震装置について
天井内、壁、床下の制震装置
ダンパーで揺れを吸収制御します


解体時の床下の様子
木の土台を多く新設しました。




開口部廻りのブレース
ブレース
庭に面した部分にはブレース(筋交い)と柱を取付けました。

旧建物には断熱材は何もありませんでしたが。床下や壁や天井内に多くの断熱材を置きました。





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